後ろ向きフィルトレーション \((\mathcal{F}_n)_{n\geq 1}\) に対して、マルチンゲールと似た逆マルチンゲールが定義でき、対応して収束定理が成り立つ。
定義
\((X_n)_{n \geq 1}\) が後ろ向きフィルトレーション \((\mathcal{F}_n)_{n\geq 1}\) に関する逆マルチンゲールであるとは、次の3つを満たすことを言う。
- 各 \(X_n\) は \(\mathcal{F}_n\)-可測
- 各 \(X_n\) は可積分。すなわち \(E[\lvert X_n \rvert] < \infty\)
- 各 \(n\) に対して、\(E[X_n \mid \mathcal{F}_{n+1}] = X_{n+1}\) a.s.
条件3の等号が \(\geq\) の場合、逆劣マルチンゲールと呼び、\(\leq\) の場合逆優マルチンゲールと呼ぶ。
ドゥーブの逆劣マルチンゲール収束定理 (Doob’s reverse submartingale convergence theorem)#
\((X_n)_{n \geq 1}\) が後ろ向きフィルトレーション \((\mathcal{F}_n)_{n\geq 1}\) に関する逆劣マルチンゲールであり、期待値が下に有界、すなわち
$$ \inf_n E[X_n] > -\infty $$であるとする。このとき \((X_n)_{n}\) はあるr.v. \(X_\infty\) に概収束する。 さらにこれは \(L^1\)-収束でもある。
注#
条件3の不等式の期待値を取ると、
$$ E[X_n] \geq E[X_{n+1}] $$が得られるため、期待値は単調減少する。そのため、下に有界という条件は
$$ \lim_{n \to \infty} E[X_n] > -\infty $$という条件で置き換えることができる。
例#
\((X_n)_{n\geq 1}\) : r.v. の可算無限列、に対して、
$$ \mathcal{F}_n = \sigma(X_1+ \cdots+ X_n, X_{n+1}, X_{n+2}, \ldots) $$と置くと、これは後ろ向きフィルトレーションになる。さらに \((X_n)_{n\geq 1}\) が交換可能である時、 \(S_n = \sum_{i=1}^n X_i\) と置くと、\((S_n)_{n\geq 1}\) が逆マルチンゲールとなる。