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2つの確率変数が一致する条件

2つの確率変数 \(X, Y\) がa.s.で一致する必要十分条件として次が知られている。

$$ E[X, A] = E[Y, A] \text{ for all } A \in \mathcal{F} $$

確率変数の一致を示す便利な定理として、次が知られている。

定理 \(\mathcal{F} = \sigma(\mathcal{F}_0)\) である場合、次の条件を満たすとき \(X\) と \(Y\) は a.s. で一致する。

  • \(\mathcal{F}_0\) は \(\pi\)-システムである。つまり\(A, B \in \mathcal{F}_0\) ならば \(A \cap B \in \mathcal{F}_0\)
  • \(E[\abs{X}], E[\abs{Y}]\) はともに有限 (つまり \(X, Y\) は可積分)
  • \(E[X, A] = E[Y, A] \text{ for all } A \in \mathcal{F}_0\)
  • \(E[X, \Omega] = E[Y, \Omega]\) (これは \(\Omega \in \mathcal{F}_0\) の場合は1つ上の条件から自動的に導かれる)

この定理から次のようなことが言える。

  • \(\mathcal{G}\) が \(\mathcal{F}\) の部分σ-代数で、\(X, Y\) が \(\mathcal{G}\)-可測な r.v. である場合、\(E[X, A] = E[Y, A]\) for all \(A \in \mathcal{G}\) が \(X = Y\) a.s. の必要十分条件となる
  • \(\mathcal{G}_0 \subset \mathcal{F}\) で \(X, Y\) が \(\sigma(\mathcal{G}_0)\)-可測な r.v. である場合、次の条件を満たすとき\(X = Y\) a.s. となる
    • \(\mathcal{G}_0\) は \(\pi\)-システムである
    • \(E[X, A] = E[Y, A]\) for all \(A \in \mathcal{G}_0\)
    • \(E[\abs{X}], E[\abs{Y}]\) はともに有限

これらは、\(\mathcal{G}\) や \(\sigma(\mathcal{G}_0)\) といったσ-代数を上の定理の \(\mathcal{F}\) とみなせばよい。

これらの定理は、確率変数が一致することを示すために、\(\mathcal{F}\) 全体での積分の一致性を示すのではなくより狭い範囲での一致性を示せばよいので便利である。

証明
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重要なのはディンキンのπ-λ 定理から得られる次の定理である。

定理 \(\mathcal{F}_0 \subset 2^{\Omega}\) がπ-システム、\(\sigma(\mathcal{F}_0) = \mathcal{F}\) とする。 \(\mu, \nu\) が \(\mathcal{F}\) 上の測度で次の2つの条件を満たすとき、\(\mu = \nu\) である。

  • \(\mu(A) = \nu(A)\) for all \(A \in \mathcal{F}_0\)
  • \(\mu(\Omega) = \nu(\Omega) < +\infty\)

この測度の一致定理を使って確率変数の一致定理を示すには、以下のように \(\mathcal{F}\) 上の測度を定義する。

$$ \begin{aligned} \mu_+(A) &= E[(X-Y)^+, A] = \int_A (X-Y)^+ dP \\ \mu_-(A) &= E[(X-Y)^-, A] = \int_A (X-Y)^- dP \end{aligned} $$

\(X-Y\) は \((\mathcal{F}\)-可測であるので、\((X-Y)^+\) や \((X-Y)^-\) は非負な確率変数となり、これらの積分は常に定義できる。 積分によって定義される正値集合関数が測度になることは良く知られた事実である。 すると、\(A \in \mathcal{F}_0\) に対しては

$$ \mu_+(A) - \mu_-(A) = E[(X-Y)^+ - (X-Y)^-, A] = E[X-Y, A] = E[X, A] - E[Y, A] = 0 \ \cdots (*) $$

が成立するため、\(\mu_+(A) = \mu_-(A)\) が成立する。

$$ \mu_+(\Omega) - \mu_-(\Omega) $$

も同様に0である(\(X, Y\) の可積分性よりこれは両方とも有限の値であり、(無限)-(無限)になってないことが確認できる。) すると、測度の一致定理より \(A \in \mathcal{F}\) に対し \(\mu_+(A) = \mu_-(A)\) が成立する。 よって全ての \(A \in \mathcal{F}\) において \(E[X, A] = E[Y, A]\) が成立することが示され、確率変数の一致定理が導かれる。